脱毛デレラのお話
私の名前は脱毛デレラ。
自分で言うのもなんだけど、とてもとても美しい顔の19歳よ。
家も裕福で、とてもとても綺麗な豪邸に住んでいます。
でも、私はとっても悩んでいることがあるの…。
それは生まれつき、ものすご~く毛深いこと!!!!!
すね毛はもちろんのこと、腕毛、背中の毛、指毛、すね毛、胸毛、全て立派に生えているの…。
そしてそれが原因で、いつも意地悪な姉にイジメられているわ…。
姉の体は華奢な私と正反対で、丸太のように太く、性格はドラ●もんのジャイアンよりも凶暴で更に陰湿です。ジャイアンは映画ではとても優しいけど、姉はそんな一面は一切ないの….。
優しい父は外資系の会社にヘッドハンティングされて海外に単身赴任中。母親も考古学者で海外でずーっと発掘作業をしています。つまり姉と二人暮らしなので、だれも姉の暴走を止める事ができません。
とてもとても美しい私を妬んでいる姉は私にボロ雑巾で継ぎ接ぎした服を着せて、汚い屋根裏を寝床にすることを強要しているの・・・。
しかも、姉に意地悪されて脱毛道具が使えないからスーパー毛深い私の体は、毛だらけ。夏でもムダ毛が目立たないように長袖と長いスカートを履いているわ。せっかく、とてもとても美しい顔に生まれてきたのに青春も謳歌できないわ・・・・なんて不幸なの。
そんなある日のこと
どうしたの?お姉さま。血に飢えた野獣の様に吠えて怖いわ。(ブルブル)
(イラッ)これを見な!王子様が1週間後のクリスマスイヴにお妃選びの舞踏会を開くみたいだわ!
(ぶ、舞踏会!?なんて素敵な響きなの!私もドレスを着て踊ってみたいわ!)
うっしゃ!早速、ダイエットと脱毛するわ!脱毛デレラ、あんたも手伝いなさいッ!
(今更ダイエットしてもムダじゃないかしら・・・)
何してんの!ボーっとしている暇があったら私に脂肪燃焼マッサージでもしな!(怒)
は、はいー(汗)
もっと!全然力が足りないわ!これじゃー脂肪が燃焼されないわよ!気合を入れて揉みな!(怒)
は、はいゴメンなさい!
(うっ・・・、ひどいわ。いつもマッサージさせられている私の方が、どんどん痩せちゃうわ・・・。)
今日は、普段2時間させられるマッサージを倍の4時間させられました・・・・。
舞踏会当日の夜
う・・・うぅ。私も舞踏会に行きたいわ。でも、こんなボロボロな服じゃ恥ずかしくて舞踏会になんていけない(シクシク)
え、えっ~!なに?なんで机の引き出しから人が??
初めまして。私は心優しい魔法使いよ(ニッコリ)
えっ!?魔法使い?・・・なにを言っているのかしら、このおばあさん?きっとボケちゃったのね! 警察に通報しなきゃ
ふふふっ。心の声が口に出ているわよ?(イラッ)
そんな事より、願い事を叶えてあげるわー。
なにかお願い事はなーい?
机の引き出しから出てきたおばあさんにいろいろとお話を聞きました。私がなかなかおばあさんの事を魔法使いだって信じないから、おばあさんは少しイラついていたけど。
おばあさんが、この机は母が結婚する時に実家から持ってきた事や母も魔法使いのおばあさんの魔法の力で、スーパーエリートサラリーマンの父親と結婚し玉の輿に乗るに成功した事など色々教えてくれました。
魔法使いのおばあさん、色々疑ってごめんなさい。凄い人なんですね♥
ようやく信じてくれたみたいね!嬉しいわ。お願い事は決まったかしら?
お姉さんがイジワルな性格なの。魔法の力でとーっても優しい(私に都合の良い)性格にしてほしいわ。
ゴメンナサイ。魔法では人の心は変えられないの・・・。
・・・・。
・・・・。
じゃぁー私、ものすご~く剛毛で毛深いんです。ムダ毛もずーっと生えないように魔法の力でなんとかなりませんか?
うーん、そいういうのもムリ。人の顔を綺麗にするとか人体はいじれない設定なの。
・・・・。
・・・・。
なんだか分からないけど、とても融通が利かないわ。この魔法使いのおばあさん大丈夫かしら?でも、こんな事おばあさんにはゼッタイ言えないわ。
チッ・・また、心の声が漏れているわよ。注意してね?(ニッコリ)
今、舌打ちした?
し、してないわ!
ゼーッタイした!ひどい(泣)
(面倒くさい子だね~。)ひ、ひとの心を変えたり、人体をいじる以外で何か望みはないかしら?
あっ!そうだわ!今夜、舞踏会を開いている王子様に会いたいわ!
オッケー!わかったわ!私に任せて(ニッコリ)
そう言うと魔法使いのおばあさんはポケットからスマホを取り出してどこかに電話しました。
これで大丈夫!もうすぐ業者が来るわ!綺麗な長袖タイプのドレスや靴、白馬の馬車が届くからね。
数分後、今まで見たことがない綺麗なガラスの靴とドレスがドローンによって運ばれて、白馬の馬車もレンタル業者によって運ばれて来ました。
ドレスでムダ毛は隠せたけど、やっぱりムダ毛が気になるわ。魔法使いのおばあさん、何かいい方法はないかしら?
私は森羅万象何でも知っている魔法使いよ。当然、脱毛の知識にも詳しいのよ。王子様と上手くいったら、ムダ毛の処理の知識は教えてあげるわ。それでいいかしら?
は、はーい
脱毛デレラいい?ドレスとガラスの靴はあげるけど、白馬の馬車レンタルだから12時までに家に帰ってくるのよ。12時を過ぎたら追加のレンタル料が発生するからね。脱毛デレラが自腹で払ってもらうわよ?(ニッコリ)
・・・わかったわ(ゴクリ)
お城の舞踏会にて
舞踏会に来たのはいいけど、どうしたらいいか分からないわ・・(キョロキョロ)
えっ・・どこどこ?あっ、いたわ!
生まれて初めてイケメンを間近で見て、つい興奮しちゃったわ!
(普段、栄養があるものを食べてないから鼻血を出しただけでクラクラするわ・・)
お嬢さん、大丈夫ですか?
あ、だいじょ・・・(うわー王子様だっ!!)
(他の女性はキャーキャーうるさいけど、この女性はなんておしとやかで可憐なんだ。)
(どうしよう~本当はキャーキャー言いたいけどフラフラして声が出ないわ。)
良ければ、私と踊ってくれませんか?シャルウィーダンス?
イ、イエス。
あなたはなんて可憐で美しいのだ・・・。今宵、あなたに出会えた奇跡に感謝しています。
(あぁ・・楽しいわ。だいぶ体調も回復してきたし・・)
数時間後
(・・・ヤバ!時計を見たらもう11時だわ!今から急いで帰らないとレンタルの追加料金が発生してしまう!)
どうかしましたか?お嬢さん?
ごめんなさい!もう私帰らないと!サヨナラ。
えっ~!?ちょっと、待って!名前とLINEのIDだけでも!
その後、なんだかんだで王子様と結婚に成功しました。
結婚後も脱毛デレラが幸せに暮らせるように、魔法使いのおばあさんにムダ毛の処理方法を聞きながらお城でセレブ生活を満喫する事になりました。
オォォォ!マジか!チャンスキターーーーーー